Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『僕は、負けない』



ノーベル邸、朝。



てくてくてく


サード 「あー。
 おはよう、ファースト姉さん。
 ふぁぁ。」

ファースト 「サード! 目が覚めたんなら、
 ぼーっとしてないで裏口から牛乳とってくる!
 それが貴方の毎朝の役目でしょっ!?」

サード 「あ。う、うんっ。」


たったったっ


がちゃがちゃ


たったったっ

サード 「はい、とってきたよ。」

ファースト 「よし。
 そしたら朝ご飯食べな。
 冷めちまうよっ。」

サード 「うん。」


ことんっ

サード 「いただきます。」

セカンド 「いただいてます。俺はもう食べてるぞ。」

サード 「おはようセカンド兄さん。
 ……あれ?
 パパはもう王城行ったの?」

セカンド 「ああ、みたいだな。今夜も遅いとか言ってたな。
 そうだ、サード。
 これ、お前に届いてたぞ。」


がさっ

サード 「なにこの手紙?」

セカンド 「王立騎士団からの加入推薦書だ。
 あと一年で初等学校も卒業だろう。
 幹部候補として入らないかというお誘いみたいだぞ。」

サード 「……なんで僕なんかが。」

セカンド 「そりゃお前が騎士団長の息子として、
 期待されているからだろう。
 ああ見えてもパパは有名な騎士団長なんだぞ。」

サード 「でも……僕には、無理だよ。
 だって負けたらどうするのさ。
 死んじゃうよ?怖いんだよ?」

セカンド 「だけどな、サード。
 時にはそれでもなにかを守りたいって思うことがあるのさ。
 まだ今は分からなくても、そのうちわかるさ。」

サード 「そんなに言うんだったらセカンド兄さんが
 騎士団に入れば……――っ!
 ご、ごめん。」

セカンド 「いや。こっちこそごめんな。
 出来ることなら、俺が代わりに行ってあげたいけど、
 右脚が使えないから……。」

サード 「ごめん、セカンド兄さん。
 そんなつもりじゃなかったんだ。
 ほんとにごめん。」

セカンド 「いいさ――事故でこの右脚が動かなくなってから、
 二本の松葉杖がないとどこにも行けないのは事実だ。
 今更どうこう言っても、仕方のないことだ。」

サード 「うん……。」

ファースト 「――サードっ!
 飯食べ終わったんなら
 無駄口叩いてないで早く登校の準備しなっ。」

サード 「あ、う、うん。」

ファースト 「ほら、弁当。
 持ったらとっとと学校行ってきな。
 遅刻するよっ!」

サード 「い、いってきまーす!」


たったったったっ




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