Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『失われた7枚』 Mystery:001

バームクーヘン殺人事件



事件は、突然だった。

アシスト 「パーティー最中の密室殺人事件……か。」

エリーゼ 「ちょっと、ロウクス君?」

アシスト 「なんだね、助手のエリーゼ君。」

エリーゼ 「……念のために聞いておくけど、その帽子は何?」

アシスト 「探偵といったら帽子だろう。」

エリーゼ 「じゃあ、その口にくわえている物は?」

アシスト 「ちょっと曲がったチョコレートだ。」

エリーゼ 「……いいけどね、別に。」


犯行推定時刻は午後8時15分。
殺害されたのはシェルザワード家の令嬢、レミィ。

レミィ 「……Zzz……」

エリーゼ 「ちょっと、寝てるだけなんじゃないの?」

アシスト 「いや、死んでいる。」

エリーゼ 「本当に検死したの?」

アシスト 「ああ。まぎれもなくヨウ素液の反応は紫色だった。」

エリーゼ 「デンプン調べてどうするのよっ!
 だいたいそれ以前に、
 どこをどう調べたら衣服からデンプンがでてくるのよ?」

アシスト 「似たようなもんだろ?」

エリーゼ 「全然違いますっ!」


パーティーのクラッカーが鳴り響くと同時に部屋中に爆音が響き渡り、部屋は闇に包まれた。
一瞬の出来事であった。
すぐに魔導の明かりが灯されたものの、既に時遅く令嬢レミィは床に横たわっていたのである。

エリーゼ 「だから、寝ているだけでしょ?」

レミィ 「いいえ、死んでいますわ。Zzz。」

エリーゼ 「……いま、喋ったわよ?」

アシスト気のせいだ。


犯人は暗闇に乗じてあらかじめ記憶してあったテーブルの位置を頼りに移動し、レミィのすぐ横に置かれていたバームクーヘン最後の一切れを横取りしたのである。
かくして、その場に居合わせた名探偵の俺に調査が回ってきたというわけだ。

そこで俺はパーティーに出ていた人物に、一人ずつ聞き込み調査を行うことにした。


▽ 第一容疑者





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