Forbidden Palace Library #02 前例なき犯罪


王都シルバニア
王城3階 作戦司令室



こんこん。


アーク 「遅くなりましたぁ。」


ガチャッ

アシスト 「……な、何があった!?」

ベル 「何故ここにっ!?」

レナード 「そんな、馬鹿な……。」

ユリア 「新記録ね……。」

ボイス 「……どうしたアークライト?
 まだ会議がはじまってから2時間しかたっていないぞ。
 それなのに会議室に到着できるとは……。」

「きっと天変地異か何かの前触れですね。」

アーク 「うん。かもね。
 …………。
 ところで君たち、いま何かとても失礼なことを言わなかったかい?」

「気のせいですよ、きっと。」

アーク 「そうか。
 じゃあそういうことにしておこう。
 で、今日は一体何の臨時会議なんですか?」

ボイス 「うむ。
 アークライトも知っていると思うが……。
 ここ数日のあいだに起きている事件のことだ。」

アーク 「というと、ベル君がそこの両開きの窓を開けようとして
 間違えて手前に引いて壊しちゃった件についてですか?
 それとも、クッキー缶を間違えて落として凹ませた……。」

ベル 「アークぅぅぅぅっ!黙っていろっていったじゃんかぁぁぁっ!」

ボイス 「……ほう。
 そうか、犯人はどっちもお前だったのか。
 ベル、あとで話がある。会議が終わったらここに残れ。」

ベル 「あうー、ごめんなさいー、ボイス将軍ー、その怖い顔やめてくださいー。」

アシスト 「知ってるか?笑顔で怒られる方がもっと怖いんだぞ?」

エリーゼ 「……アシスト師団長。何故、私の方を見るのですか。」

アシスト 「ああ、いや、別に。」

アーク 「で、事件ってなんですか?」

ボイス 「うむ。ここ数日、街中のゴミ箱が突然爆発するという
 前例のない奇妙な事件が発生していてな。
 それも一・二件ではなく、立て続けに数十件もだ。」

「……爆発って、どういう風に爆発するんですか?」

ボイス 「うむ。ほとんどは爆音だけで大した被害が出ているわけではない。
 せいぜい交換の近い老朽品がいくつか壊れたぐらいだ。
 どれも空のゴミ箱ばかり狙われて、わざと人的被害が出ないようにしている。」

レナード 「……そういえば以前、
 爆発音が好きで、市街のあちこちに爆竹仕掛けてた師団長がいたな。
 今頃どこでなにをしているやら……。」

アシスト 「意外とあいつが犯人だったりしてな。」

エリーゼ 「私の前任者、マルス前師団長ね……でも、まさか。」

ボイス 「ここで話合った所で、
 真実が出てくるわけではない。
 そこで、犯人を捜索してもらいたいのじゃ。」

アシスト 「わざわざ俺達が出なくても、市民兵に任せればいいじゃん。」

ボイス 「うむ。本来ならそうするべきなのであろうが、
 あくまでこの事件は隠密に調査を行いたいのじゃ。
 大勢で捜索すると相手に気づかれてしまうかもしれんからな。」

ユリア 「それで、誰が調査するのー? あ、あたしはパスね。このあと非番だから。」

ボイス 「ふむ。とりあえず秘書は決定することにして……。」

「え?
 わ、私ですかぁ!?
 あのー、私はデスクワークが本職なんですけど……。」

ボイス 「わかった。じゃあ君は本日付けで解雇……。」

「はいはいはい、やりますやります。
 あー、身に余る光栄だなぁ。
 もー最高。」

ボイス 「……あまり嬉しくなさそうだな。」

「いや、そんな滅相もない。もう、とても。ええ。」

ボイス 「そうかそうか。
 やってくれるか。
 頼むぞ、シルバニアの未来は君の肩に掛かっているんだ。」

(本当にそう思えてくるところがなんとも……。)

ボイス 「ん?何か言ったか?」

「あ、いえいえ、別に。」

ボイス 「……それとエリーゼとアシスト、お前達も一緒に調査してこい。」

アシスト 「ちょっとまてっ!なんで俺がっ!?」

ボイス 「アシスト。
 もし今回の事件を解決出来たなら……
 先日の減給の話はなかったことにしてやろう。」

アシスト 「このウィルバー=ロウクス=アシスト、
 命に代えてでも必ずや犯人を
 見つけだして参ります!」

ボイス 「うむ、その心意気じゃ。」

エリーゼ 「……え?
 ち、ちょっと、アシスト師団長?
 ど、どうしたの、いきなり敬礼なんて?」

「アシスト師団長が、急にまじめな顔になってる!?」

アシスト 「では早速行って参りますっ!さぁ、俺の減給を帳消しにするためにっ!」

エリーゼ 「……はぁ。やっぱり理由はそれなのね。」

アシスト 「ん?どうした?ため息ついて?」

エリーゼ 「自分の胸に聞いてみなさいっ!」

アシスト 「……どきどき言ってるぞ。」

エリーゼ 「そうじゃなくてっ!
 んもうっ!
 こんな馬鹿に構ってないで行きましょう、秘書さん。」

「あ、はい。」

アシスト 「おい、こら、まてっ! 置いてくなっ!」

▽とりあえず城を出る



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