Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(後編)』

『真実の継承者(後編)』




シルバニア王国
王城3階 作戦会議室



白銀の都、シルバニア。
市街を取り囲む城壁がその色の輝きを持つ事から、こう呼ばれる。

その扇形の中心部には、同じく白銀に染められた王城がそびえている。

レミィ陛下 「この部屋が作戦会議室ですわ。」

ウィルバー 「暗くてよく見えないが……かといって、明かりをつけるわけにもいかないか。」

レミィ陛下 「ダメですわ、明るくなると眠くなってしまいますの。」

ウィルバー 「……それはそれで問題があると思うんだが。」

レミィ陛下 「『印刷(プリントアウト)』でしたっけ?」

ウィルバー 「『刷り込み(インプリンティング)』だ。」

レミィ陛下 「近かったですわね。」

ウィルバー 「いや、近いようでかなりかけ離れていると思うんだけどな。
 とりあえず、
 本棚にしまわれている書類やノートをどかさないとな。」


がさごそ


ウィルバー 「何だこの本?『建築工学…光あふれる空間』?」

レミィ陛下 「きっと先日の兵隊長召集会議の時に誰かが忘れていったのですわ。」

ウィルバー 「兵隊長の中に元建築家でもいるのか?」

レミィ陛下 「いませんわ。」

ウィルバー 「……まぁいいや。次。『編みもの100選』」

レミィ陛下 「それもきっと兵隊長の誰かの忘れ物ですわ。」

ウィルバー 「いいのかよ、会議に本を持ち込んで。
 ……『女性の口説き方』に『北方に眠る古代の鉱床』
 なんか全然ジャンルがばらばらだな。」


ぱらっ


ウィルバー 「『第7章 危険性について
 かつてこの世界には約3000の鉱物が眠っていたと伝承されているが、
 その中でも現存が確認されている物を取り上げ……』」

ウィルバー 「『どのような合成が危険であるかをこの項では説明しようと思う。
 中には爆発の危険性がある物も含まれるので取り扱いには……』
 って持ち主は一体どうしてこんな所に栞を挟んだんだ?」

レミィ陛下 「前者がどなたの本かは存じませんが、
 後者はマルス師団長の持ち物のはずですわ。
 真夜中にこの部屋で読まれていたのを目撃いたしましたわ。」

ウィルバー 「兵隊長はともかく
 師団長が召集会議の場にこんなもの持ってくるなよな、
 まったく。」

レミィ陛下 「本以外にもこんなものもありますわ。」

ウィルバー 「その包装紙はなんだ?」

レミィ陛下 「恐らく、ミルククッキーの包み紙ですわ。」

ウィルバー 「捨てろよそんなもの。」

レミィ陛下 「副将軍の持ち物だから誰も文句言えないのですわ。」

ウィルバー 「……この本棚って個人のロッカー代わりなのか?
 まぁいいや。とりあえずこれだけ空いていれば
 隠し扉のボタンを押せるだろう。」

レミィ陛下 「扉のボタン……棚の奥にあるでっぱりのことですの?」

ウィルバー 「ああ、それだ。
 ……レミティアーナ女王陛下、
 俺が合図をしたら同時にその棚の奥のボタンを押して……」


どたどたどたっ


レナード 「いたぞっ!賊は作戦会議室だっ!!!」

ウィルバー 「!?」


▽……。



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