Forbidden Palace Library #J01 『真実の抹消者(前編)』

『真実の抹消者(前編)』


ブランドブレイ王国 王都
ブランディウム城地下 廃棄物倉庫

ジャンヌ 「ふんふんふーん、
 描いて貰った見取り図では確かこのあたりなんだけど……。
 何よこの倉庫、埃だらけじゃない。」

ジャンヌ 「地図地図地図ー♪地図はどこー♪っと。」


がさごそ

ジャンヌ 「んー、これは?
 『インヴィエルノ亭、ランチメニュー』
 ……違うわね。」

ジャンヌ 「こっちは何?
 『プリマベラ亭、豪華なディナーセット』
 なんで食べ物屋のチラシばかりなのよ。」

ジャンヌ 「……ん?
 この折りたたまれた紙は何?
 えーと……。」

ジャンヌ 「んっふっふーん、ビ・ン・ゴ☆
 地図ってこれね。
 まったく師匠ったら分かりづらい所に隠すんだからー。」


バンっ

ラグランジュ 「動くな、侵入者!」

アーノルド 「そこまでだ、ジャンヌ=グリフィス!」

ジャンヌ 「あら、そっちの方は……初見かしら?
 はじめまして☆ お邪魔してまっす。
 で、男二人でこんなところデート中?」

アーノルド 「違ぇぇぇぇぇぇ!!!」

ラグランジュ 「……ロリコンと言われた事はあったが、
 そういう勘違いをされたのは初めてだ。
 果たしてどちらがより健全なのだろうか。」

アーノルド 「人生問答してる場合かよ!」

ラグランジュ 「そうだった。
 とりあえずそこの侵入者、
 両手を挙げて大人しくしてもらおう。」

ジャンヌ 「んっふっふー、アタイがそんな言う事聞くと思って?」

ラグランジュ 「わかった、飴やるから。」

アーノルド 「おい、子供じゃあるまいし、そんな手で釣られるわけが……。」

ジャンヌ 「え、本当?じゃあ投降しまーすっ☆」

アーノルド 「てめぇも飴に釣られるなぁぁぁぁぁぁ!!!」

ジャンヌ 「冗談よ、冗談。ジョークの通じない男ね。」

ラグランジュ 「まったくだ。」

アーノルド 「なんでお前ら意気投合してんだよ。」

ラグランジュ 「それはともかく、大人しく投降してもらえないだろうか。
 こいつの話が本当だとしても、それはカイザリア帝国での出来事。
 ここはアース家による主権の確立したブランドブレイ王国だ。」

ラグランジュ 「現時点では二件の侵入罪の疑いがあるだけだ。
 その事についてのみ取り調べたい。
 少し時間を貰えないかね?」

アーノルド 「何言ってんだ、だからあの女は指名手配犯で――」

ラグランジュ 「外交官でもない他国の人間の言う事を、
 聞く理由も権限も、俺にはないんだ。
 お前も帝国の人間ならそのぐらいの分別はつくだろう?」

アーノルド 「……ならば、力づくでその女を取り抑える。」


すらりっ

ジャンヌ 「!」

ラグランジュ 「待て、馬鹿野郎っ!」

アーノルド 「うぉぉおおおおっ!」

ジャンヌ 「んもぅ、突撃しかパターンのないお馬鹿さんねぇ。えいっ。」


ガシャン がらがらがらっ

アーノルド 「うお!?本棚が崩れて――ぐぁああ!?」


▽……。



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