
 「あの、そ、そんなところに隠れないで下さい……わ、私、困ります……」
「あの、そ、そんなところに隠れないで下さい……わ、私、困ります……」
 「レナード師団長っ!」
「レナード師団長っ!」
 「…………みつかったか。」
「…………みつかったか。」
 
 「恥ずかしいですよぉ……。」
「恥ずかしいですよぉ……。」
(……でも、レナード師団長なら……ああっ。だめよ、アリス。
 こんなことならもっと可愛い柄のに……ううん。だめだめっ!) 「……ひょっとしてカウンターの下に隠れようとしていたんですか?」
「……ひょっとしてカウンターの下に隠れようとしていたんですか?」
 「レナード。命が惜しければおとなしく投降しろ。」
「レナード。命が惜しければおとなしく投降しろ。」
 「命か……。命など惜しくはない。
「命か……。命など惜しくはない。
 いつか消える物をわざわざ守る必要はない。
 もしそれが運命なれば、変えることは許されないからな。」
 「とりあえずですね、
「とりあえずですね、
 カウンターから顔だけ出してそんなこと言っても
 全然説得力がないと思うんですけど。」
 
 「…………。」
「…………。」
(……でも、もしそのまま『君が欲しい』なんて言われたら……。
 あ、レナード師団長……心の準備が……まだ……あっ。) 「お前の命じゃなくて。
「お前の命じゃなくて。
 もう一度言う。
 アリスの命が惜しければ投降しろ。」
 「わかった、投降しよう。
「わかった、投降しよう。
 愛する者を命がけで守る。
 例えそれが運命を変えることになっても。」
 「……さっきと言っていることが全然違いません?」
「……さっきと言っていることが全然違いません?」
 「気のせいだ。
「気のせいだ。
 …………。
 秘書、裏切ったな。」
 「こ、これはですね、私の本意では決して……。」
「こ、これはですね、私の本意では決して……。」
 「ほほぅ。すると何だ、要するに俺達に協力する気はないと?」
「ほほぅ。すると何だ、要するに俺達に協力する気はないと?」
 「あ、いえ、決してそういうわけでは……。
「あ、いえ、決してそういうわけでは……。
 いやー、光栄だなぁ。
 アシスト師団長やエリーゼ師団長のお手伝いが出来て。」
 「そうかそうか。
「そうかそうか。
 やっと俺の魔導実験の手伝いをする気になったか。
 なに、痛いのは一瞬だ。」
 「……え?
「……え?
 な、なんでそうなるんですかぁぁっ!?
 誰もそんな事言ってませんっっっ!」
 「ちっ。」
「ちっ。」
 「ちっ、じゃなくて……。
「ちっ、じゃなくて……。
 ……あれ?アリスさん、どうしたんですか?
 さっきからずっと目をつぶって?」
 
 「あ、い、いえ。
「あ、い、いえ。
 なんでもないです……。」
(……私が凄い妄想癖だって事はばれてない……わよね?) 「レナード、あとで俺の魔導の実験台になってもらうからな。」
「レナード、あとで俺の魔導の実験台になってもらうからな。」
 「断る。
「断る。
 個人の趣味志向に口を出す気はないが、それに巻き込まれるのは御免だ。
 それが私にとって不利益なことならば尚更だ。」
 「アリスの命が……」
「アリスの命が……」
 「承知した。
「承知した。
 魔導の探求?非常に結構なことではないか。
 それが転じて人類の生活向上に結びつくのならば尚更だ。」
 「……10秒前と言ってることと全然違いません?」
「……10秒前と言ってることと全然違いません?」
 「気のせいだ。」
「気のせいだ。」
 「レナード副将軍、貴方には役職相応の自覚がなさすぎます。
「レナード副将軍、貴方には役職相応の自覚がなさすぎます。
 貴方は将来この国の将軍になるべき人なのですよ。
 それなのに…………くどくどくどくど。」
 「おい、エリーゼ、とっとと残りの2人を探しに行くぞ。」
「おい、エリーゼ、とっとと残りの2人を探しに行くぞ。」
 「先に行ってて。
「先に行ってて。
 まだレナード師団長に話が終わってないの。
 ……いいですか、現在のシルバニア王国は……くどくどくどくど。」
 「あいつの説教って長いんだよな。
「あいつの説教って長いんだよな。
 ……待ってても時間の無駄だな。
 よし、先に行くぞ、秘書。」
 「あ?え?あのー、そのー、やっぱり私も行くんですか?」
「あ?え?あのー、そのー、やっぱり私も行くんですか?」
 「あたりまえだろ。この期に及んで逃げられるとでも思っているのか?」
「あたりまえだろ。この期に及んで逃げられるとでも思っているのか?」
 「…………本当、どこで間違えたんだろう……。」
「…………本当、どこで間違えたんだろう……。」