(あれ、あそこにいるのレナードちゃんとアリスちゃんじゃない?)
(そうみたいですね……)
(よし、そのあたりに隠れろっ!)
(……覗きはよくないわよ。)
(いいから隠れてろって、エリーゼ。)
(……もぅ。強引なんだから。)
「実は話があるのだが……」
(話?話って何かしら……まさか『君とはもう会えない』なんて言われたらっ!
そんなのいやいやっ!私の気持ち、まだ伝えてない……そうよ、今伝えれば……)
「私も、レナードさんに話があるんです。」
「?何だね?」
「レナードさん……あの……」
(言うのよ、アリス。ずっと言えなかった事を。
でもレナードさん……私の事、何とも思っていないかもしれない……)
「誰だっ!?」
「!!!」
「秘書っ!
それにアシスト、ユリア、エリーゼっ!
……お前達……」
「ちっ!みつかったかっ!」
「総員、撤退っ☆」
「……後で何か言われたらロウクス君の責任ですからねっ!」
「いいから早く逃げるぞっ!」
「待てっ!」
「あ、あれ?
……えっと、レナード将軍。
その襟首掴んでいる手を放して……貰えません?」
「秘書。上司を欺いた覚悟はできているな?」
「だ、だから私の妹が……
アシスト師団長の実験台にすると脅されて……
その、不可抗力で……あのー、」
「……本年度の有給休暇全て没収。」
「そ、そんなぁぁぁぁぁっ!?」
「それが嫌だったらあいつら全員つかまえてこいっ!」
「は、はいぃぃぃぃぃっ!!!」
「……ふぅ。とんだ邪魔が入ってしまったな。」
「でも、これで……
その……二人っきりですね……。
もう周囲に、誰もいませんよね?」
「あ。ああ。」
「あの、レナードさん。」
(言うのよ、アリス。でも『ごめん、君とはただの友達なんだ』なんて言われたら……。
ひどいわっ!私とは遊びだったのねっ!夢の中で私に色々したくせにっ!)
「ん?」
(ダメよ、アリス!ううん、弱気になってはダメっ!
……そうよ、だったら簡単な既成事実を作ればいいのよ!)
「ちょっとこっち向いていただけます?」
「ああ、なんだ……?」
「目を瞑って下さい。もう少し顎を下げて……そのまま、動かないで下さいね。」
「???」
「……アリス……さん?」
「…………。
私の、気持ちです。
受け取って下さいますか?」
「アリスさん…………あ、ああ。もちろん。」
「あっ……。」
「アリスさん
……キスが先で順番が逆になってしまったが……
俺とつきあっていただけますか?」
「……はい、喜んで」
「ア、アリスさん?」
「……レナードさん、ひょっとして嬉しくて動揺されています?」
「あ、ああ。どうしてそれが?」
「くすっ。だって、瞳が揺れてますもの……」
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