Forbidden Palace Library #12 夢みよ乙女達


王都シルバニア
王城前




レナード 「ふむ。ユリアの私邸から王城までそう距離があるわけではない。
 とはいえ、ルートすら特定できない状態で
 隅から隅まで捜索するのは骨が折れるな……」

「あ、レナード将軍。どうですか、見つかりました?」

レナード 「いや。全然だ。
 そっちもまだ手がかりはなさそうだな。
 今日ほどわずか数百メートルという距離が長いと思ったことはない。」

「そういえば『メートル』ってどういう意味なんですかね?」

レナード 「遙か昔のMKS単位系をそのまま引き継いでいる、
 という教科書に載っている程度しか私も知らぬ。
 マックスウェル元師団長なら何かご存じだったかもしれないが……」

「えむけーえすたんいけい?ってなんです?」

レナード 「旧文明時代に提唱され、共通規格化された度量衡だ。
 惑星の各地に散らばっていた数多の文明がひとつの世界文明となったとき、
 必要となって制定された、と言い伝えられている。」

「世界文明……そういえばそんなものもあったんですよね……」

レナード 「遠い昔の話だ。おとぎ話といっても過言ではないだろう。
 いまや人類はこの大陸の、ほんの南端にしか生存していない。
 『土地を巡って戦争が起こる』など今となっては考えられない夢物語だ。」

「うーん……昔の人達って今より野蛮だったんですかね。」

レナード 「かもしれんな。それは歴史だけが知ることだ。
 ……いまはそんな話をしている場合ではない。
 秘書、お前はあっちを探してみてくれ。」

「あっはい、わかりました。」


すたすたすた

「……あれ、あっちってどっちだろう?」



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