「貴方を大陸中から捜し出すのは容易ではない。
ならば、おびき寄せたほうが早いというもの。
……あの老体らの考えた身分差別計画が役に立つと思いつきましてね。」
「ふっ。復讐のために国を一つ腐敗させたというわけか。」
「ご名答。
これも貴方へのささやかな復讐ですよ。
元は貴方の国の一部だったのですからね。」
「愚かな。おびき寄せたところで私に勝てると思うてか。」
「いいえ――。
そのために天蓋を用意したのですよ。
貴方をねじ伏せるための魔導増幅装置としてね。」
「!!!」
「この力を、とくとお味わいください――。」
「ふっ……理力防御、展開。」
「セラン・ユ・フェムリット
光よ螺旋の軌道を描け!
シャイニングスパイラル!!!」
「くっ! 威力がっ!?」
「どいて、セディ!
セイエ・フェウェル・リ・ラ 重力の盾よ光を弾け!
グラヴィティシールド!!!」
「――礼を言うぞ、メルフィア。」
「のんきに構えている場合じゃないわ!次が来るわよ!」
「まさか、これほどの増幅を実現しているとは……。」
「なるほど。
メルフィア、元の設計図を知っている貴方には、
この『天蓋』の力を利用できるというわけですか。」
「その設計図はもともとパパのものよっ!」
「ふっ、
この場で私だけが蚊帳の外というわけか。
――面白くない。」
「覚悟はお済みですか、宰相エルネスト。
メルフィア、貴方も私の邪魔をするというのであれば、
容赦はいたしませんよ。」
「ヴェンツェスラウス。
貴方は私からパパと思い出の両方を奪った。
絶っっっ対に許さない!!!」
「許さなければ、どうだというのです?」
「いくらエルネストが貴方の味方についたところで、
魔力増幅装置を味方につけた私と、
それを使う術を知らない宰相との魔力差は歴然。」
「エルネストと言えども抗える落差では――。」
「ふっ、メルフィア。もう一度礼を言うぞ。」
「え?」