Forbidden Palace Library / 『星降らす銀の天蓋』 /

■ 法都エルメキア
□ 法院(最高議会)

ヴェンツェスラウス 「ほぅ?
 まさか天蓋の使い方が分かったとでも?
 設計図すら知らない貴方には、この使い方は――。」

セディ 「ふっ。
 貴様らが増幅魔導を用いるならば、
 私にはメルフィアに作らせたこの武器がある。」


すちゃっ

ヴェンツェスラウス 「!? その奇妙な形の剣はっ!」

セディ 「これは本来、
 量子兵器(クァンタム・ウェポン)を
 無効化するためのものなのだが――」

ヴェンツェスラウス 「まさか、音叉剣かっっ!
 ――なるほど、メルフィアに創らせていたのはその武器か。
 だが墓穴を掘ったな、エルネスト。」

ヴェンツェスラウス 「その兵器が必要ということは、
 あの剣がまだ存在していることの証しに他ならない。
 『カーボンブレイド』と呼ばれた、かの透明な剣が。」

セディ 「ふっ。
 この場で唯一の証人を抹殺すれば何も問題はない。
 この法院を貴様の墓石としてくれよう。」

ヴェンツェスラウス 「果たしてその様な古代武器で何ができるというのです?
 愚かなり、エルネスト。
 その剣を自らの墓標として差し上げましょう。」

ヴェンツェスラウスフェレル・イ・シャスレイン
 輝ける球よ、弾けろ!
 シャイニングボール!


ギュゥンッッッッ

セディ 「……愚か者は貴様の方だ。ふっ。」


ヴンッッッ


シュパァアアアンッ!

ヴェンツェスラウス 「…………!?」

メルフィア 「え?」

ヴェンツェスラウス 「なっ…………。」

メルフィア 「魔導が、消えた!?」

ヴェンツェスラウス 「……私の魔導を解呪(ディスペル)しただと!?」

セディ 「本来は量子シールド破壊のための工具。
 だが根幹を辿れば魔導とて量子制御の一手法。
 基礎次元が同一なれば応用とて可能ということだ。」

ヴェンツェスラウス 「……これは……実に驚くべき現象だ。
 まるで手品(マジック)か何かのようだ。
 まさかそんな切り札を隠し持っていたとはな。」

メルフィア 「別の意味で本当に魔法(マジック)なんじゃないの、セディ?」

セディ 「ふっ。知りたくばこのセディ様を倒してからにするがよい。」

メルフィア 「……台詞だけ聞いてると、どっちが悪人か分かったもんじゃないわ。」

セディ 「何か言ったか?」

メルフィア 「いーえ。なにも。」

ヴェンツェスラウス 「なるほど、
 ピンポイントでの魔導攻撃は意味がないという事か。
 ――天蓋、最大展開。」

セディ 「!?」



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