「……空間に魔力が……満ちあふれていく……?」
「貴様、一体なにをした!?」
「天蓋の力を最大限解放したまでですよ、
そのような小賢しい手品を使わせないために。
魔力スケールを変えると言った方が分かり易いでしょうか。」
「ヴェン、貴方まさかリミッターを……!
分かっているの!?
そんなことをすれば貴方自身の肉体だって――」
「承知の上ですよ。
言ったではありませんか。
これはただの復讐だと。」
「……狂ったか。」
「それはお互い様ですよ、エルネスト。
貴方がたった一人の人間のために、
この文明を築き上げたように!」
「セディ、
貴方ひょっとして、
さっきの言葉は本当に……。」
「ふっ、詳しい話は後だ。
ヴェンツェスラウス、貴様、
一体どこまで魔力を解放するつもりだ!」
「貴方を滅ぼすまでですよ。」
「……どんどん、身体が軽くなる感覚……。」
「数年前、どこぞの塔で同じ感覚を身にしたな。
ならば阻止する方法はただ一つ。
ウィウァ・リエル・イス――」
「え?」
「振動せし崩壊の波紋よ、行け!」
「!?」
「フラッターリップル!!!」
「え、なに!?
今のガラスが割れるような音は!?
それに身体がまた重さを取り戻していく……。」
「なるほど、魔力そのものを拡散させたか!
だがそれこそが命取りだったな!
周囲を魔力の渦が取り巻いているこの状況こそ我が好機!」
「ユラン・エルウァ・イクスハルレイン」
「!
その詠唱は!
建物の中でそんな魔導(もの)を発動させるつもりかっ!?」
「え、何?何の魔導?」
「岩盤よ灼熱の渦となりて大地を焦がせ!」
「――メセリア・エ・シャレイリィ
氷雪の衣よ 我が外套となれ!
フローズンヴェール!」
「ちょっ、セディ、
手前に向けて氷結魔導なんかっ……!?
どういうつもりよっ!?」
「灼熱の溶岩よ、地より湧き出て滝となれ!」
「ふっ、説明は後だ!いいから大人しく纏われろ!」
「え、え、ちょっとっ?セディっ!?」
「捕まっていろ……っ!」
「ラーヴァストリーム!」